自宅で過ごす時間を上手に楽しむ人が増えています。特に人気を集めているのが、ガーデンファニチャーを設置して庭を第二のリビングとして楽しむスタイル。
これに欠かせないのがデッキやテラスです。地面や芝生では安定しないテーブルやいすも無理なく置けて、雨のあとでも足元が泥で汚れずにすみます。


それぞれの特徴を比較してみましょう。
Contents
身近な天然木材の「ウッドデッキ」。そのメリットデメリット
デッキと聞いていちばんに思い浮かぶのは天然木材のウッドデッキではないでしょうか。木の質感が人気の理由のひとつですが、メンテナンスが必要でよいことばかりでもありません。ここでは天然木材ウッドデッキのメリットとデメリットを紹介します。
天然木材ウッドデッキの【メリット】
質感の良さ、経年変化
ウッドデッキの良さ、いちばんはその質感です。設置したては新しい木の香りを楽しむことができ、時間の経過に伴って木は色味を変え、風格を増していきます。
加工しやすい
木材はカット次第でどんな形にもできます。「デッキを設置したい場所に植木があるけどどうすればいい?」「子どもが庭で遊ぶので、ふちは角のない曲線で」といった希望もお手の物。造形を楽しむことのできる素材です。
熱に強い
デッキでしたいこととしてよく上がるバーベキューパーティー。バーベキュー コンロも気にすることなく設置できます。
天然木材ウッドデッキの【デメリット】
経年劣化、耐用年数の短さ
メリットでもあった経年変化は、適切なメンテナンスを怠ると劣化に傾いてしまいます。部分的な変色や色落ちは、愛でるという気持ちにはなりにくいもの。また日陰では、土がついて汚れたまま放置すると腐食の原因にもなります。
天然木材の耐用年数は選ぶ木材によって異なり、手軽に扱えるソフトウッド(針葉樹から作られる木材)はDIYでよく用いられますが、2年程度で劣化が始まると言われています。毎年1回は防腐防蟻塗料を塗るといった、腐食を防ぐこまめなメンテナンスが必要です。
一方、ハードウッド(熱帯広葉樹から作られる木材)は強度が高く、腐食が起こりにくい素材です。耐用年数は20年以上と言われています。プロにウッドデッキを依頼するのであれば、ハードウッドがおすすめです。あらかじめ薬剤を注入した防腐注入木材という素材もあります。
ソフトウッド | ハードウッド | 防腐剤注入木材 |
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杉、ホワイトウッドなど | ウリン、イタウバなど | 杉材、ヒノキ材など |
耐用年数 2,3年 |
耐用年数 20~50年 |
耐用年数 15~20年以上 |
やや高価 | 高価 | 安価 |
DIY向き | DIYは不向き | DIYは不向き |
ささくれ、欠け、割れ
デッキは使っていればささくれや欠け、割れなどができてしまう場合も。気づかずそのままでいるとトゲを刺したりひっかけたりと危険なことも起こりえます。
カビ、シロアリ
木材なので、家と同様、カビやシロアリのリスクがつきものです。見過ごすことなく、定期的なチェックで発見、予防したいもの。
天然木材ウッドデッキの【メンテナンス】
天然木材のウッドデッキはメンテナンスが不可欠です。汚れは水洗いし、気になる部分はモップやぞうきんで拭きましょう。腐食やカビの原因となる砂や土が残らないよう、こまめに掃くと良いですね。
ささくれや欠けはやすりをかけてなめらかに。定期的に保護剤を塗装することできれいが保てます。手に余るほどになってしまったらプロを頼りましょう。より美しい仕上がりになります。
メリット |
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デメリット |
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メンテナンス |
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憧れの「タイルデッキ」そのメリットデメリット
モダンな印象のタイルデッキ。一度設置すればその後は手のかからない素材であるため、使い勝手の良さで人気です。ここではタイルデッキのメリットとデメリットを紹介します。
タイルデッキの【メリット】
高級感がある、色が選べる
木材があたたかみのある印象を与えるのに対し、タイルは高級感を感じさせます。様々な色があり、好みに合わせて選び、組み合わせることができます。木材と比べると、選択の幅の広さはタイルのほうが上です。
劣化しない
タイルは年を重ねても変化をしない素材です。強度も高いため、傷もつきにくく、作ったときのままの印象が長く続きます。
掃除がしやすい、乾きやすい
タイルは手がかからないのもいいところ。汚れても簡単に洗い流すことができ、濡れても比較的乾きやすく……と、手入れに負担をかけません。
タイルデッキの【デメリット】
滑りやすい、照り返しがきつい
表面がなめらかな分、特に水にぬれたときには滑りやすくなります。色によってはぬれているかどうか分かりにくい場合があります。
また、晴れたときには太陽の熱をためやすく、思わぬ熱さになっていたり、照り返しが気になったりも。屋根や日よけの設置で直射日光が当たらないよう工夫することもできますが、コスト増に繋がります。
コスト・工期がかかる
ウッドデッキに比較すると、タイルデッキはコストがかかりがち。タイル自体の価格が高い上、乾燥の手間もあり、工期がかかります。
撤去費用が高い
タイルデッキは、いくつかの部材を組み立てて作るウッドデッキとは異なり、セメントを流し込んで固めた土台にタイルを貼り合わせています。そのため、撤去するにはタイルを一枚ずつ剥がし、固めたセメントを壊さなければなりません。建物に面していれば、傷つけないよう手作業になるので、解体撤去も高額に。
タイルデッキの【メンテナンス】
タイルデッキもウッドデッキ同様、水洗いで対応できます。高圧洗浄機を使う方法も。水や紫外線に強く、基本的に素材の劣化はありませんが、固いものを落として割れてしまったときなど、気になる部分は貼り直しを。交換はそのタイルだけで 済みますが、同じタイルの在庫があるかどうか気になるところです。
メリット |
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デメリット |
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メンテナンス |
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ウッドデッキの弱点を解消した「人工木材・合成木材」

そんな方におすすめなのが、人工木材や合成木材。近年デッキに多く用いられているこの素材は、プラスチック系の材料をベースに、オガクズなどを混ぜて作られています。ここでは人工木材デッキのメリットとデメリットを紹介します。

人工木材の【メリット】
人工木材は腐食やささくれが起こる心配がありません。天然木材のデメリットだった耐久性の不安やメンテナンスの手間を解消したことがいちばんのメリット。広く流通するようになってからは取り入れやすい価格帯のものが増え、DIYとしても扱いやすい素材です。
人工木材の【デメリット】
樹脂系の材料を含んでいるため、天然木材に比較すると日差しを溜めて表面が熱くなりやすい傾向があります。改良されてきましたが、紫外線によって退色が起こることも。直射日光を避ける屋根や日よけを同時に検討したほうがよいでしょう。
人工木材の【メンテナンス】
メンテナンスフリーを謳うものもありますが、これは「天然木材と比較したときに保護剤塗布の手間がかからない」という意味に過ぎず、何もしないできれいが保たれるということではありません。シロアリの心配はなくとも、カビや汚れには注意が必要なのは変わりません。
汚れが目立ってきたときは水洗いします。高圧洗浄機の利用も可能です。ひどい汚れには台所用の中性洗剤を使ってたわしなどでこすり、最後に水で洗い流します。カビがついた場合は漂白剤を使いますが、各メーカーの建材ごとにあるメンテナンス方法を確認した上で、適切に行って下さい。傷や焦げ跡は紙やすりを使って少しずつ削り取り、水で粉を落とすと目立たなくなります。
メリット |
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デメリット |
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メンテナンス |
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わが家のデッキにベストなものは?3種を比較
天然木材、タイル、人工木材。それぞれ異なる特徴をもった素材です。主な特徴を比較してみましょう。
天然木材 | タイル | 人工木材 | |
色の選択肢 | △ | ◎ | 〇 |
耐熱性 | 〇 | ◎ | △ |
熱くなりやすさ | 〇 | △ | △ |
滑りやすさ | 〇 | △ | 〇 |
紫外線による退色 | 〇 | ◎ | 〇 |
耐用年数 | △ | ◎ | 〇 |
メンテナンス | △ | ◎ | 〇 |
コスト | 〇 | △ | 〇 |
天然木材はメンテナンスや耐用年数の面では劣りますが、その風合いで魅力を感じる方が多い素材。選ぶ木材や定期的なメンテナンスによって長持ちさせることが可能です。
タイルは良い点悪い点がはっきりとしています。見過ごせないのがコスト増。設置解体全てに工期も必要です。
人工木材は天然木材の弱みを改善する目的で作られたものですが、基材に樹脂を用いているため、熱には弱くなっています。また樹脂の質感に抵抗を感じる方もいますが、近年のウッドデッキは天然木材よりも人工木材が主流になってきています。
デッキを使う具体的な場面を想定して考える
デッキの利用シーンはご家庭によってさまざまです。実際にデッキを使う場合をイメージして検討しましょう。
バーベーキューを楽しみたい
存分にバーベキューを楽しみたい場合には、熱や汚れに強い素材を選ぶと安心です。油はねやソースをこぼすことに神経質にならずに済むようなデッキが使いやすいでしょう。
熱に弱い人工木材デッキの場合、コンロの置き場所を別に設けることを検討しても。食べるときだけデッキを利用すると考えれば、選択肢から外さなくともよくなります。
ペットや子どもの遊び場に
デッキがペットや小さなお子さんの遊び場になるなら、裸足でかけ回ることを考えて、足に優しく、怪我をしない安全対策をする必要があります。
ペットが走り回ったウッドデッキは傷がつきささくれができやすくなります。手入れが億劫になるようなら、人工木材を選ぶとよいでしょう。
雨上がりや水遊びのとき、人工木材やタイルは滑りやすくなります。マットを敷く、滑りにくいタイルを採用するなど工夫しましょう。
夏の暑い日には熱中症予防という点でも、屋根やタープ・パラソルの設置は考えたいところ。日陰を作ることで素材表面の熱さが軽減されるので、より選択の幅が増やせます。
素材を組み合わせるという選択肢も
どうしても絞れない!そんなときはそれぞれの特性を生かして、素材を組み合わせてはいかがでしょう。ウッドデッキをしつらえてリビングから繋がるくつろぎスペースとし、一段下に水はけのよいタイルデッキを構え、そこで子どものプール遊びやバーベキューを……といった使い方も素敵ですね。
まとめ
使いたいデッキの素材は見つかりましたか?
・天然木材ウッドデッキにメンテナンスは必須。木材選びが重要
・タイルデッキはメンテナンスフリー。予算や工期に注意
・人工木材ウッドデッキの魅力は使いやすさ。こだわりがなければおすすめ
納得の素材で充実のセカンドリビングを楽しみましょう。